フォーカス・ワンの4月定例会講演が恒例の日本記者クラブ会議室で開催された。講演者は大崎 正瑠(おおさき まさる)氏、原会員の学生時代からの友人で、会社勤務後、留学やバックパッカーなどとして48年間で世界46か国や地域に短期、長期を含み滞在経験がある異文化コミュニケーション研究者。
ご自身の海外滞在経験や語学習得経験から日本人及び日本語の特性を分析のうえ、近年激増している外国語と外国人との接点においてコミュニケーション上の課題を語ってくれた。ユーラシア大陸に位置する諸国と日本との大きな違いは、常に多くの隣国と陸続きで国境を接している、西はスペインから東は韓国までのユーラシア大陸の国々は領土を維持しながら自国の利益を確保するために相手に対して高圧的に自己主張を繰り返していかなくてはならない。一方日本は外国からこれまで侵害を受けることも少なく、そのような危機感を持つことは非常に稀であった。
ところがこの数十年は仕事や旅行で外国に行くことが非常に多くなってきたし、また外国人観光客も急増してきており、いたるところで言語摩擦や文化摩擦が発生している。日本人、そして日本語は相手の言い分を謙虚に聞く事には優れているが、自分から発信していくのは苦手である。常に一歩下がって礼儀正しく振る舞うことが、時には相手を増長させ言い分を受け入れざるを得ない場面を多く創り出す。
これからの若い世代に対して、臆することなく異文化体験を自ら進んで受け入れ、言語として優れた日本語を大切にしながら言うべきことは相手に主張していこうと進言している。
また、日本国内で見かける外国人観光客にも何も英語で話しかけることなく、堂々と日本語で話し、日本語で会話を試みたらどうだろうかとの投げ掛けもあった。
(文責:杉野)