2017年1月度例会講演会 「迷走する親日国トルコ」                                              小沢規夫氏(当会会員、エグゼクティブ・シニア・ディレクター サーチファームジャパン)

 今年最初の講師は、当会会員でエグゼクティブ・シニア・ディレクター サーチファームジャパンの小沢規夫氏。

 伊藤忠商事の元トルコ代表として、1990年代に同国に駐在された。その後も長くトルコとの政治、経済のエキスパートとして、各方面で講演をされておられる。

 冒頭、同氏より当日の出席者にトルコを訪問したことがある人の挙手を求められた。かなりの会員が訪問した事がある事が判明し、改めて同国との近さを感じられた。

 新聞やテレビ等では理解が出来ていなかったトルコの全般について、簡潔にまとめられたレジメを基に大変わかりやすく説明され、まさに「目から鱗が落ちた。」という感じであった。

トルコの概要では、1人当たりのGDPが1万ドルの手前で滞まっていて、まさに「中進国の罠」にはまっているとの説明がなされた。

 略史では、まず日本との関係に触れられた。トルコが親日国になった切っ掛けが1890年のエルトゥールル号遭難事件と日露戦争で日本が勝った事にあり、その後、日本との友好関係は130年も続いているとの事。

 又、中東の雄として、政治的にも経済的にも欧州との結びつきが強い一方、NATOの加盟国として、軍事的にアメリカとも結び付きが強い事がよく理解出来た。

 昨年715日に起きたトルコ国軍のクーデター未遂事件に関しては、トルコ政府の発表によるとギュレン派の存在がある事が説明されている。

 そのギュレンとは? 又、ギュレン運動とは何かは一般情報では理解の幅が限られていた。今回の説明を伺い、その影響の大きさを改めて感じさせられた。

 その海外活動の一環として、日本でインターナショナルスクールを5校も経営している事は驚きであった。

 世界の政治・経済が大変革している中で、トルコの動きに片時も目が離せなくなっている。

 特に今後のトルコの内政課題、難民問題を始めとする外交課題にエルドアン政権が如何対処するか、一時間があっという間に過ぎた大変有意義な講演でした。

 

文責:熊谷