2018年3月度例会講演会 「元駐在員が見たインドネシアってどんな国?」

講師:藤田哲男氏(当会会員)

 

藤田氏は1973年に日揮(株)に入社後ジャカルタ駐在を2回経験された。1回目は、1994年からの6年間で、その間1998年のアジア経済危機、ジャカルタ暴動に遭遇、2回目は2012年からで昨年6月に帰任されたばかり。今日は「アジアの大国乍ら日本のマスコミへの露出頻度が意外と少ないインドネシア」というタイトルでお話し頂いた。

〈講演の資料準備に当たっては、最近頻繁に現地へ出張されているご長男が撮られた写真と、片やパワーポイント作成の方はご次男に支援してもらった由、まさに親子合作によるものです、と冒頭に説明されました〉

 

1.インドネシアとは・・・

(1)1945年に独立後、スカルノ、スハルト始め歴代大統領の時期を経て、1988年以降民主化移行期、2004年以降は民主化定着期となり、現ジョコ大統領の任期が2019年に終了するが、次も再選されるかは不明とのこと。

 

(2)面積が何と日本の5.1倍あり、インドネシアと欧州の地図を重ねて示されたが、その画像・広大さが極めて印象的であった。人口は2.55億人でインド、中国、アメリカに次ぐ規模。また、国旗の写真を3か国、インドネシア・ポーランド・モナコと並べて見せられたが、正解者は意外と少なかった。

 

 

2.日本人駐在員の生活等・・・

まずは、日本人学校は小・中で約1200人が通っており、但し渋滞がひどくて、バスで早朝6時に出て帰りも同じバスで帰るという全く同一行動の由。尚、駐在員の出勤も同様で、朝6時に家を出るのが一般的。食糧事情面では、最近はレストラン・スーパーマーケット(ユニクロも出店)もほぼ充実し大方欲しい物は手に入る。寿司屋・日本食店も多いが、但しコストは日本とあまり変わらず、また、ゴルフのプレーフィーも安くない。尚、住居についても日本人経営のマンションが多く申し分ないレベルである。(その他:余興で、JKT48の写真が披露された。)

 

3.インドネシアでの事業について・・・

(1)BKPM(インドネシア投資調整庁)の統計データによると、就労人口ベースで、タイは現在ピーク、中国、ベトナムはピークを過ぎたのに比し、インドネシアはこれから期待できる。また、同国への投資国ランキングにおいて、統計表上シンガポールが1位となっているが、日本企業によるSPCを入れると実質日本がトップ。また、産業全体で見ると、外資が強く内資が弱いという現状。

 

(2)インドネシアについて、参考になる数々の特徴

①魅力的な点:人口が多い→市場が大きい、平均年齢が低い→購買力が強い、親日的→仕事がし易い、柔軟な思考と器用な手先→驚く技術力と素晴らしいアイデア。その他に、プライドが高い、大変陽気である、いつも笑顔を絶やさない等々

➁戸惑う、困ったと思う点:法律や規制の改定が頻繁、労務・税務の制度が極めて複雑、組合運動やデモが活発、激しい道路渋滞、会議にすぐ集まらない、時間にルーズ、長期プランのコントロールが苦手で納期間際になって大騒ぎする等々

➂インドネシアへの投資を行うにあたっての課題、要注意点

●税制が複雑であり、コンサルタントが必要

●法律の実効性が期待できない・・・裁判で勝てない

●労務関連での許認可が複雑 等々

④インドネシアが特に期待する投資分野

インフラ強化、工業全般、海運・航海事業、観光産業

➄日本VS中国

中国が極めて戦略的にアプローチし新幹線を受注したりしている(未着工)が、本音では、本質的には日本と付き合いたいし、日本への期待が大きい。

 

以上、数多くの写真を披露しながら、インドネシアについて、非常に熱い思いで語って頂いた。 

 

最後に幾つか質問がなされた中の一部を付記すると、

Q島の数がとてつもなく多いのを、どのように対処しているのか?

Aまさに、それは経済発展の大きな妨げとなっているのが実情で、島への移動コストが島によって異なるなど、フィリピンと同じ悩み・弊害となっている。

QインドネシアのASEANでの位置・存在はどのように理解したらよいか、インドネシアとしてどのように捉え・思っているのであろうか?

A国としても大きく、経済発展の可能性が高いかもしれないが、ASEAN の中でリーダー役を果たそうという意識はなさそうである。

 

                         (文責:川畑 茂樹)