2018年4月度例会講演会「コミュニケーションと文化・マナー」

講師:小山 直子氏(当会会員)

 

(略 歴)愛知県旭丘高校から名古屋大学で英文学専攻。日本航空入社。羽田空港勤務後、客席訓練所で英語教官。13年間の専業主婦の後、英語、スペイン語、フランス語の通訳・翻訳で、大阪花の万博協会、電通などで勤務。海外駐在は御主人の転勤に帯同されたマドリ-ド3年半とブリュッセル2年半。その後、苫小牧高専教授、大阪国際大学教授を経験。現在はフリーで英語・スペイン語・フランス語を個人レッスンで教える。趣味は食べる事、飲む事、料理。

 

今回の講演に先立ち、小山さんが1971年から現在までの活動状況を纏められた「教育研究業績書」を読ませて貰いました。就職活動や留学準備の学生、海外赴任前の社会人を対象にした研修や大学生、高校生へ外国語を教えておられました。又、同時に企業からの依頼で数多くの講演をされています。それらの講演会でも今回の講演のタイトルである「コミュニケーションと文化・マナー」について常に強調されていました。

 

今回は45分の限られた時間内でホワイトボードにキーワードを書きながら、熱弁を奮われました。

まず、non verbal communication(非言語コミュニケーション)の説明をされました。それによると、話を聞いている人に与えるインパクトは、what you say (話す内容)に対して7%、how you say it (どの様に話すか)に対しては38%、how you look when you say it (話す時、どう見えるか)は55%となり、相手に与える印象は「非言語」の部分が9割以上を占めている事になりますと。

communicationとは「伝達」「連絡」「意思疎通」と辞書には書いてありますが、語源はラテン語のcommunicatus「他人と共有した、知らせた」であること。最近では「コミュ力」の重要性が問われているが、そもそも意思の疎通を図るのに能力が要るのか?要るのです。即ち、コミュニケーションとは「以心伝心」「忖度」では駄目ですよと強調された。では何が一番大切か。英国では、Mind your P’s and Q’s. と、小さい時から親が教える最も大事な事です。P は please を、Q は Thank you を意味します。これがコミュニケーションの基本であり、この2つがあれば世界中どこへ行っても失礼に当たらないと。

 

次に、言葉とは文化そのものであるとの話。例えば、雨。「梅雨、五月雨、小糖雨、時雨、等々」英語にはならない言葉が多々あります。何故か?それは日本が農耕民族であり、且つ、雨に頼る稲作を主としているからです。逆に、「自由」は英語では2つもあるのに日本語では明治になって作られた言葉です。何故か?それは日本にそのような概念がなかったからですと。

 

最後に、英語教育に関しても、小山さんは持論を展開されました。日本では、中学高校と6年間も英語を学んだのに喋れない、とよく言われます。それは、授業の絶対時間数が少ないからです。6年間で英語の授業時間は平均700〜800時間(1年間で117〜133時間)。700時間しか学んでいないのです。一方で、例えばオランダ。1年間に1000時間。しかも1クラス10人。更に言えば、オランダ語は英語の親戚みたいなもの。日本語と英語は全くの赤の他人。生まれも育ちも違います。それなのにこれだけの時間数。ある意味出来なくて当たり前です。恥ずかしがることはありません。堂々と Please. と Thank you. を駆使してコミュニケーションを取って下さい!とのメッセージでした。

 

この4月から、週3日、高校で非常勤講師として、又、新たに生徒に教える事をなりましたと伺いました。ご健康に留意されて、今後,益々のご活躍に祈念しています。

 

(文責:熊谷 春水)