9月度 例会「働くという事―私の場合。37年間日本で学んだこと、感じたこと。将来への願い」

 

鈴木真砂(すずき まさご)氏は、1955年生まれ。1973年N.I.S(Nagoya International School)高等部卒、1977年米国カリフォルニア州Occidental College卒業後帰国、川崎汽船株式会社入社を経て1991年、CMB  Japan(ベルギーの海運会社の日本法人)の代表取締役に就任。2015年、同社を退職。

 

今回は、「働くという事―私の場合。37年間日本で働いて学んだこと、感じたこと。将来への願い」をテーマに1時間強にわたり講演をいただいた。

 

 

講演内容の要旨は以下の通り。

 

1.きっかけー女子高からインターへ

 名古屋の金城学院中学(キリスト教系、女子一貫校)から、Nagoya international School  (N.I.S)へ進学。きっかけは1日交流会を通じ、N.I.S.に行きたいと熱望。英語の先生の励まし、両親の理解もあり、N.I.Sへ入学。卒業後、米国加州のOccidental Collegeに入学、卒業後、帰国。

 

2.日本で就職(当時大卒女子の採用状況は土砂降り)

 1978年、川崎汽船株式会社に入社。

 当時女性としては皆無のチャータリング(荷主向けに海運会社が船舶を傭船する活動。傭船引き合い)をやらせて欲しいと課長に直訴し、チャータリング業務に従事、男性社会て働くことの厳しさを痛感した。

 

3.結婚と転職

 職場結婚を機に、転職を決意。ベルギーの海運会社に転職し、東京オフィスの代表に。

 

4.出産、ベルギーの本社はM&Aへー人生の分岐点 公私まとめてやって来た

 出産休暇後、職場復帰したが、社内の空気に変化。同時期、本社はM&Aへ。

 辞意を表明したものの、本社からの東京オフィス存続か閉鎖かについて事情聴取を受け、辞意を撤回、東京オフィス存続。

 

5.雨降って地固まるー仕切り直しで再スタート

 人間的に魅力あふれる人達と一緒に仕事ができる喜びに浸ることができた。特に、社長からは、相手が魅了される理由を学んだ。

 

6.働く母としてー母は強しー会社にとってよくないですか

 働く母として、母は強しと実感。同時に子供がアキレス腱と実感。

 常に一石二鳥、三鳥を考えてやりくりしたことから、精神的にタフになり、会社にとってもプラスの面があったと思う。

 

7.子育ての現実

 働く母として、①子供が何よりも一番大切、②子供の将来の責めは負う、との2つの覚悟を持った。

 職場、姑、主人等、様々な人々に助けてもらいながら子育てをした。

 

8.退職・現役を離れてーVersion Upを宣言

 退職パーティーのスピーチで、これからVersion Upを宣言。まだまだ修行中の身なるも奮闘中。

 

9.結論と将来への誓い

 ①何故、働くことに魅了されたのか?

  直面している問題を解決したい。また、目的を見つけ獲得する喜びは結果だけでなくプロセスも楽しい。

  働くことにより報酬を得るだけでなく、精神面でも鍛えられ、成長できる。

 ②願いを叶えるための提案

  女性の活躍について考えることは同時に男性の働き方、生き方を語ることにつながるので恩恵は双方にある。

  固定観念を捨て、融通性のある組織に変革することが重要。

 ③将来への願いー男女混合団体戦

  願いは一人ひとりが充実した人生を送れるようにということ。

 

最後にー願いを叶えるためにも世の中が平和であることが大前提。

自分をきちんと説明でき、立場ではなく、自分の思いに従ってコミュニケーションが取れ、感じの良い人が日本に増えれば増えるほど、日本を守る心強い要素になり、繁栄の助けになるのではないかと考える。

 

講演を聞き終わり、鈴木真砂さんのこれまでのダイナミックな働きぶり、また退職後も自らをVersion Upをしていかれる姿勢に感動すると共に、大いに勇気づけられた。

 

                               文責 星野